舌が痛い

むし歯(う蝕)で穴が開いたり、歯が磨り減ってとがったり、歯に被せたものが破れたり、義歯が合わなくなって舌が磨れたりする場合などの刺激で舌がぴりぴりすることがよくあります。そのような場合は診察を受けその原因を取り除けばぴりぴりすることはなくなります。 神経質な方の場合歯科心身症ということも考えられます。ストレスなどで無意識のうちに舌を噛んだり、こすったりすることにより引き起こされます。あまり気にしないほうがよいかと思います。 そのほかに口腔乾燥症や肉眼的に異常をみとめない舌痛症なども考えられます。 いずれにしても症状が長く続くようでしたら受診されることをおすすめします。

舌痛をきたす疾患

1.補綴物、義歯などによる刺激
加齢とともに舌の粘膜上皮は薄くなる→ 物理的、化学的刺激により外傷を受けやすくなる(易受傷性)。

2.口腔の乾燥
特に女性では、加齢とともに唾液分泌能が低下→ 唾液による自浄作用、粘膜の保護作用の喪失 → 易受傷性
※外分泌腺を侵す自己免疫疾患(シェーグレン症候群) - 高齢者に多い
※高血圧症や糖尿病などの薬剤の副作用 → 薬剤の変更、中止
※放射線治療(口腔内が照射野に含まれた場合)

3.全身疾患に伴う舌痛
プランマービンソン症候群(鉄欠乏性貧血) - 赤い平らな舌(舌乳頭の著明な萎縮)、嚥下困難、口角亀裂、サジ状爪
胃切除後あるいは悪性貧血(ビタミンB12および葉酸が欠乏) - 慢性表在性舌炎(メーラー舌炎、ハンター舌炎)
舌乳頭が萎縮し白色斑、舌尖から舌縁にV字型の発赤、腫脹を認め舌痛や味覚障害
亜鉛欠乏症 - 味覚障害の原因の一つ。舌痛や知覚異常
舌動脈硬化 - 不快な感覚
舌下面の静脈瘤

4.感染症などによる炎症
舌の易受傷性、唾液分泌低下による粘膜保護作用の低下、全身的免疫能の低下→ 口腔感染症

・感冒時びらん性舌炎
・カンジダ症
・単純性ヘルペス感染
・水痘、帯状疱疹ウイルス感染
・アフタ性口内炎
・天疱瘡、類天疱瘡 - 自己免疫疾患

5.悪性腫瘍
舌癌の浸潤により知覚神経を刺激

6.神経痛
1)三叉神経痛
下顎神経に神経痛が生じると舌体部に舌痛
誘因:舌を動かすなどの動作
痛みの性状:発作性、放散性、瞬時的な鋭い痛み

2)舌咽神経痛
舌根部に疼痛。時に咽頭や耳に放散痛
痛みの性状:三叉神経痛と同様
※両神経痛ともに神経血管圧迫疾患(神経を近傍の血管が圧迫することにより発症する疾患)
※治療法:薬物療法、神経ブロック、神経血管減圧術

7.舌痛症
舌に異常感を訴えるが、それに見合うだけの肉眼的な異常がないもの
(局所所見、検査所見に異常のあるものを除き、心気症に近い病態で何らかの精神的要因が背景にあるもの)

舌痛をきたす疾患の治療法

狭山中央歯科の口腔病理専門医は、口腔以外の全身疾患に対してのトレーニングを受けていますので、その知識を生かして口腔内診査からアドバイスをすることもできます。
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